これが、エリックドルフィーのラストレコーディングです。
DIW日本のディスクユニオンからのプレスになっていますね。
ノート
Recording made in Paris, June 11, 1964
6月11日、LAST DATE収録の9日後の演奏ですね。
収録曲
1 Springtime 19:20
2 245 10:05
3 GW 6:10
4 Serene 7:58
クレジット
Alto Saxophone : Eric Dolphy (tracks: 2, 3)
Bass :Jacques Hess
Bass Clarinet : Eric Dolphy (tracks: 1, 4)
Composed By :Eric Dolphy
Congas :Jacky Bambou (tracks: 2, 3)
Drums : Franco Monzecci
Liner Notes : Wolfgang Schminkte
Piano :Jack Dieval
Tenor Saxophone :Nathan Davis
Trumpet :Donald Byrd
それでは、聞いていきましょうか、、、、。
Springtime
始まりは、何か、葬送曲のような不気味さを含んで、ドルフィーのバスクラの不気味な効果音的な旋律をバックに、ドナルドバードのトランペット、ネーサンデービスのアルトサックスが、同じフレーズをリフレインします。
その後、夜が開けて行くかのごとく、明るい音調に変化して、トランペットのソロに移って行きます。
この楽曲のドラムは、LAST DATEと比べると、見違えるほど、しっかりとしたリズムを刻んでいますね!
安心して、聞けるリズム隊です^^;w
続いて、ドナルドバードTPと、ネイサンデービスASの掛け合い的な構成に変わって行きます。
その後、ネイサンデービスがソロをとります。
ドルフィーの音は、聞こえてきませんね、、、、、、。
一旦テーマが流れた後、ドルフィーの登場です。
心なしか、覇気のない音に聞こえてしまいます。
タイトルがSpringtimeなので、ソフトな演奏なんですかね?
その後、ドルフィーのソロは、馬の嘶きのような、犬の遠吠えのような、何か悲鳴に近いロングトーンを繰り返します。
それから、超絶技巧モードに入りますが、どこか力なく、しかしながら、その弱々しさが、また美しくも聞こえてきます。
この時、エリックドルフィーは、確かに生きてこの世に存在していました。
Springtimeはドルフィーのオリジナル曲のようですが、私は他に聞いた記憶がありません。
自ら、葬送曲を自作自演したんでしょうか?
この謎は、永遠に謎のままでしょう、、、、。
245
この曲は、ドルフィー二枚目ののリードアルバム、Outward Bound で収録されていた曲です。
最初に、ネイサンデービスがソロをとりますが、何かタドタドしさを感じます^^;
何でだ??w
そのまま、ドナルドバードのTPへとバトンタッチ、、、、。
バードのソロは、安心して聞けるな^^;w
それからドルフィーのソロ、アルトですかね?
燃えるような気迫は感じられませんが、いつも通りの演奏に聴こえます。
GW
この曲もOutward Boundに収録されていた曲ですね。
ここでもドルフィーはアルトを吹いています。
最初にドルフィーがソロをとります。
スピード感もあって、安定した演奏です。
続いて、ドナルドバードのTPソロ。
この人は達者ですね。
そのまま、テーマに戻り締めくくりという感じ。
Serene
この曲もOutward Boundに収録されていた曲です。
優しくて、メロディアスなテーマです。
ここでは、ドルフィーはバスクラに持ち替えています。
ソロも安定していて、いつものドルフィーという感じかな?
ドルフィーのソロの後、Jack Dievalのピアノがソロをとっています。
優雅でキメの細かいピアニストだと思います。
それから、ドナルドバードのTPへとバトンタッチ。
再びテーマへと戻り、つつがなく楽曲は終了します。
個人的には、このアルバムの日本語のライナノーツが印象に残っています。
そこには、、、、。
エリックドルフィーは、JAZZ界の宮沢賢治だ!
と書かれていたと記憶しています。
(現在板を調べても、ライナーノーツがどこかに紛失してる^^;)
1987年当時の私は、はあ??
何のこっちゃ??
と、サッパリ訳がわかりませんでした^^;
しかしながら、このアルバムが縁で、その後宮沢賢治の世界に踏み込んで行くことになりました!
ドルフィーが求道者だと言い切れるのは、彼がJAZZ界の宮沢賢治だからです!
確かに、宮沢賢治とERIC DOLPHYは同じ匂いを感じます。
生い立ちも、その生涯もまるでリンクしているかのように、共通項が多いですよね?
享年も賢治が37歳、ドルフィーが36歳、生前全く評価されなかったことも通じますかね?
生まれや育ちは、割と裕福な家庭だったのに、その生涯は試練の連続、、、、。
しかしながら、求道者は、成功よりも試練の連続、難行苦行の末にしか、悟りの境地を開くことはできない。
その生涯は、報われないものの方が多かった、、、。
報われない、痛みを知る人にしか、享受できない境涯、、、、。
状況が困難であればあるほどに、求道者の魂は磨き浄められ、大宇宙の大生命と一如して行きます。
求道者は、困難な状況とは裏腹に、無垢不動の境地へと、その魂は昇華されてゆくのです。
なるほどねぇ、、、、。
さて、LAST RECORDINGですけど、名盤と言えるほどの仕上がりではないですかね?
録音は、良好です。
海賊版みたいな粗悪な音源ではありません。
コレクターズアイテムという感じではありますが、Springtimeというドルフィーのオリジナル曲が聴けるので、貴重かな??
LAST DATEという普及の名盤があるので、オススメするならそちらですかね?
ラストレコーディングという意味合いでは、ファンなら必須アイテムでしょうか?
次回は、この日の演奏でこのアルバムには未収録の曲をセレクトしているNAIMAです。
この二枚でラストレコーディンの全貌が明らかになります。
どちらも1987年に発売されましたが、現在では、二枚組でコンプリートされたComplete Last Recordings in Hilversum & Paris 1964が出ているようですね。
このアルバムは、LAST DATE と LAST RECORDING&NAIMA+αを完全にコンプリートしているようです。
LAST DATE未所有の人なら、こちらを買った方がお得かもしれませんね!
Complete Last Recordings in Hilversum & Paris 1964