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Eric Dolphy OUT TO LUNCH !

ブルーノートレーベルからのスタジオセッションである。


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Eric Dolphy - Out To Lunch! (Blue Note BLP 4163)
Freddie Hubbard (trumpet) Eric Dolphy (alto sax, bass clarinet, flute) Bobby Hutcherson (vibes) Richard Davis (bass) Anthony Williams (drums)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, February 25, 1964
1309 tk.4 Gazzelloni
1310 tk.10 Hat And Beard
1311 tk.12 Something Sweet, Something Tender
1312 tk.17 Out To Lunch
1313 tk.21 Straight Up And Down
** also issued on Blue Note BST 84163, CDP 7 46524 2, B1-ST 46524.

フレディ ハバード:トランペット
エリック ドルフィー:アルトサックス、バスクラリネット、フルート
ボビー ハッチャーソン:バイブラフォン
リチャード ディビス:ベース
アンソニー ウイリアムス:ドラムス

ドフィーのリードアルバムの中でも、最強メンバーといってよいでしょう!

できれば、このメンバーであと2〜3枚くらいはレコーディングしてほしかったですねぇ、、、。

ん?

なんで?ブッカーリトルじゃないのって??

1961年10月5日リトルはわずか23歳という若さで、この世を去ってしまいます。

Far Cryのセッションが1960年12月21日ですから、あのセッションからわずか一年にも満たない、、、、。

この日の録音も、バン ゲルダー スタジオですね。

音質はドルフィーのレコーディングの中ではピカイチと言ってよいでしょう!

ドルフィーが、その生涯に残した遺産の中では最高傑作だと思います^^;

ただし、その演奏はかなり先鋭的で、初めて聞く人はひどく衝撃に打たれてその場でひざまづいてしまったり、私のようにただの雑音にしか聞こえなかったり、、、、。

ドルフィーの演奏の中では、最も難解な作品と言えるのも事実ですね。

これが、聴き込んで行けば行くほどに、この世のものとも思われない美しさに満ち溢れているのが、徐々に理解できて行きます。

作曲は全てドルフィーのオリジナル曲で、ちょっと異次元の世界を描いているように聞こえます。

それでは、聴いて行きましょうか?





Hat And Beard

ベースの音から始まります。

ドルフィーとハバードによって執拗に繰り返されるテーマ、そのテーマがハッチャーソンにバトンタッチすると、ドルフィーとハバードによって、何か幕開けを告げるような爽快なフレーズが響き渡ります。

それから、ドルフィーの火の出るようなバスクラのソロ!

超絶無二!

まさに鉄人の境地と言えましょうか?

ハバードのトランペットも見事!

スピード感のある攻撃的なソロが続きます。

ウイリアムスのドラムにもシビレますね^^;

それからハッチャーソンのソロ、このクインテットもギターやピアノといったコードを出せる楽器が存在していません。

ドルフィー自身の言葉として、こんなものが残っています。

ボビーのバイブは、ピアノより自由で、よりオープンなサウンドを持っている。
 
ピアノは、共演者をコントロールし抑制するように見えるが、ボビーのバイブは共演者を解放するように思える。



ディービスのベースも光ってます!

さまざまな演奏法を取り混ぜながら、ベースという楽器の可能性を多彩に表現してきます。

しょっぱなから、全てのメンバーがありとあらゆる技を繰り出してきます。

技の凄さに、初めて聞く人はついて行けないかもしれません^^;

珍しく、最後はベースのソロでフェードアウトして終了して行きます。





Something Sweet, Something Tender

ドルフィーのバスクラとディビスのベースのアンサンブルから始まります。

ディービスは、弓でベースを弾いています。

それは、何か夜明け前の不気味な空気を感じさせているような少し重苦しい雰囲気です。

それから、まるで日が昇るようにドルフィーとハバードが高々と音色を響き渡らせます。

表題のようにドルフィーのソロも、ここでは優しさを表現しているように聞こえますね。

再び、ドルフィーとハバードのテーマが流れて、それからバスクラとベースのDuoに戻ります。

このDuoがまた、なんとも優しく物悲しいフレーズです、、、。

実はドルフィーとディビスは大親友で、夜通し音楽について語り合ったこともあったとか、、、。

ドルフィーは、ディビスに「弦楽四重奏曲」を作曲したいと話したとも、、、、。

この二人のDuoの演奏は Iron ManやConversationsというアルバムで聴くことができます。

それは、すでにJAZZという世界観を飛び越えてしまって、まさにAlone Togetherの境地と言える演奏です。




Gazzelloni

ここでは、ドルフィーはフルートに持ち替えています。

ハバードのトランペットと短いフレーズを何度も繰り返しながら、曲は進行して行き、ドルフィーのフルートのソロに移ります。

アンソニー ウイリアムスのドラムがいいですね。

自由自在というか、名手だわ!w

ソロはハバードにバトンタッチ、ハッチャーソンのバイブとの掛け合いになって行きます。

確かに、ピアノと違って、合いの手の入れ方も奏者をより自由に解放しているように感じられますかね?

それから、バイブのソロへと進行して行きます。

ディビスのベースのソロが続いた後、再びテーマへと戻り終了。





Out To Lunch

タイトル曲のOut To Lunchです。

何か、行進曲のような軽快なドラムのリズムに乗って始まります。

テーマは、まるで街中を肩で風を切りながら行進しているような情景が浮かびますね。

ここでは、ドルフィーはアルトを演奏しています。

最初にドルフィーがソロをとりますが、

もっと自由に!

もっと自由に!

そう叫んでいるように聴こえてきます。


ハバードのソロでは、ディビスのベースも通常とは異なる奏法でリズムを刻みます、ハッチャーソンも細かく合いの手を入れてきますね。

フリーJAZZのように聴こえますが、もっと均整のとれた自由自在の境地のように感じられますね。

真のフリーとはなんだ?

それはグロテスクに抑圧された歪んだ世界ではなく、風の歌のように、波の調べのように、自由自在でありながら、大宇宙の調和の中に生かされている境地である!


ハッチャーソンのバイブのソロも前衛的で、メンバー全員が新しい可能性を求めてより自由になろうとしているのが聞き取れます。

ディビスのベースのソロ、ちょっとミンガスを思い出すようなところもあるか?

最後は、メンバー全員で、それこそフリーにインターセッションを繰り広げます。

ドラムの行進曲のようなリズムの中、また体制を整えながら行進していくようにテーマが流れて終了します。

この整列した感じと、自由奔放なインターセッションとの対比、この辺が聴きどころじゃないでしょうか?

メンバーたちが、何かひとつの小宇宙を築き上げたかのような、魂と魂が融合しながら自由自在に戯れ合っている、そんな境地が聴き取れます。




Straight Up And Down

最後はハードバップらしい構成でしょうか?

しかしながら、この曲もエリックドルフィーにしか作曲できない、複雑に入り組んだリズムとメロディーという感じですね。

アルトのソロも、何か開放感に満ちているように聴こえます。

ハッチャーソンのバイブの合いの手が、スパイシーです。

ハバードが割り込むように音を重ねてきて、そのままソロに移ります。

ハッチャーソンのバイブの合いの手も予測困難で、リズム隊も通常ではないないリズムをリズミカルに刻んで行きます。

バイブのソロも融通無碍の境地に入りました!

ただのフリーJAZZではない、超絶技巧の職人集団による小宇宙が生まれたという感じ、何か現代音楽とか言われる分野に似た新しさも感じさせますが、その日、その瞬間に発生したインタプレーは二度と再現できない、唯一無二のやはり小宇宙だと感じますね。

最後は、ハーバップ形式でテーマを繰り返して終了です。

いやはや、ものすごい境地ですね!

これこそ、20世紀JAZZにひとつの金字塔を打ち立てた名演と言えるのではないでしょうか?

しかしながら、このスタジオセッションが実質ドルフィーの最後のリードアルバムとなったと言えますね。

あとは、ソリストとして誰かのセッションに参加したり、ミンガスとともにヨーロッパに渡ってライブを繰り広げたり、そのまま単身で欧州に残ったドルフィーは、ベルリンの地で帰らぬ人となります。

寂しすぎますけど、それでもエリックドルフィーがOUT TO LUNCH !という金字塔を打ち立ててくれたことは、我々の誇りであり、人類の財産でもあるのです。

彼の音楽は?

どこへ向かおうとしていたのか??

彼自身の言葉をそえておきます。



あまりにも多くの知るべきことがあり、そして、試み、発見しなければならないことがあるのです。

私は、私が今までなしとげたものすべての彼方にある「何か」を、いつも聞き続けています。

私には、自分が得ようと努めなければならない「何か」がいつもあるのです。

私が音楽で成長すればする程、私の聞ける新しいものの可能性も増大するのです。

まるで以前にはその存在を想像もしなかったサウンドを、私はあくことなく求め続けるようにしていつも生きています。



エリックドルフィーのリードアルバムとして代表的なものは、OUTWARD BOUNDOUT THEREFAR CRY、そしてこのOUT TO LUNCH !、あとは、LAST DATEでしょうか?

この5枚で、ドルフィーの世界がほぼ理解できると思います。

最初に揃えるべき5枚ですかね?

ライブアルバムに関しては、また別の機会に特集してみようと思います。



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