OUT THERE





Eric Dolphy - Out There (New Jazz NJLP 8252)
Eric Dolphy (alto sax, bass clarinet, flute, clarinet) Ron Carter (cello) George Duvivier (bass) Roy Haynes (drums)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 15, 1960
2395 Out There
2396 Feathers
2397 The Baron
2398 Serene
2399 Sketch Of Melba
2400 17 West
2401 Eclipse


アルバムのタイトル画は、ドルフィーの友人リチャード ジェニング、Prophet(予言者)によるものである。

ルビー バン ゲルダー スタジオにての録音、日付は1960年8月15日と記されている。

OUT WARD BOUNDのスタジオセッションから四ヶ月後ということでしょう。

このアルバムはドルフィーの二枚目のリードアルバムとして知られている。

ドルフィーは以前、チコ ハミルトンの楽団で演奏しており、そこでロン カーターと出会っている。

このアルバムにもロン カーターが参加しており、全体的にチコ ハミルトン楽団時代の楽曲の面影を残してはいるものの、より自由奔放な世界(OUT THERE)への一歩を踏み出したものとなっている。

編成はドルフィー (alto sax, bass clarinet, flute, clarinet) 、ロン カーターのセロ、ジョージ デュビビエのベース、ロイ ヘインズのドラムスとカルテット構成であるが、ピアノもギターもバイブも参加していない、変形的な構成である。

ギターやピアノといったコードを演奏できる楽器が加わっていないということですね。

レコーディングはバン ゲルダーによるものです。


それでは、聴いてみましょうか?




Eric Dolphy - Out There

アルバムのタイトル曲です。

ドルフィーのアルトとカーターのセロのユニゾンでテーマを流した後、カーターのセロのソロへと進行していきます。

かなり前衛的で挑戦的な演奏に聴こえますね。

ベースとドラムのバックにセロのソロ、なんとも幽玄な世界が広がりますね。

その後ドルフィーのアルトのソロへとバトンタッチしますが、流れるような小刻みのフレーズが続いたかと思うと、次第にジグザグや急上昇、急降下、三段跳び、再びジグザグ走行と自由自在な前衛的なソロが続きます。

その後、ベースがソロをとります。

最後はテーマをユニゾンで流して終わります。





Eric Dolphy - Serene

こちらもドルフィーの作曲によるものですね。

メローな雰囲気のバラードという感じです。

ドルフィーとカーターのユニゾンで始まります。

ドルフィーはバスクラを手にしていますね。

ソロもミディアムテンポでゆったりと展開して行きます。

もちろんドルフィー独特の斬新で先鋭的なソロです。

続いてはベースのソロに移ります。

しばらくベースのソロが続いた後、カーターが弓を置いてセロを指で弾き出します。

それからドルフィーのバスクラとドラムの掛け合いが続きます。

再びテーマに戻って終了。

このセリーンという楽曲は、後のFar Cryのセッションの時にも録音されましたが、アナログ版の発売当初は収録されておらず、何十年か後にCDで再発された際にボーナストラックとして追加されました。

その後も、ライブで頻繁に演奏されて行きます。





Eric Dolphy - The Baron

これもドルフィーの作曲ですね。

ちょっと暗い雰囲気の曲調でしょうか?

この楽曲でもドルフィーはバスクラリネットを手にしています。

3分に満たない短めの曲ですね。





Eric Dolphy - Eclipse

これはミンガスの曲ですね。

ドルフィーとカーターのクラリネットとセロのユニゾンで何か夜明け前の薄暗さを感じさせる旋律が流れた後、ドルフィーのクラリネットテーマの後ろでカーターがセロでアドリブを弾いていきます。

カーターのセロが自由奔放で、モダンジャズとセロというちょっと珍しい取り合わせが特異に聴こえますが、ドルフィーもカーターもチコ ハミルトン楽団に在籍していましたので、ハミルトンの何か室内楽的な演奏スタイルを感じますかね?

ハミルトン時代もドルフィーはクラリネットを演奏した楽曲が幾つかありました。

面白いのはハミルトンの影響を残しながら、ミンガスの楽曲を演奏するという二人の師匠に敬意を払った演奏であることですね。

また、さらにその上に斬新手法を取り入れて、新しい道をつけようとしている「OUT THERE」を感じる一曲です。




Eric Dolphy - 17 West

この曲ではドルフィーはフルートに持ち替えています。

やはり、どことなくハミルトンの影を感じるのは、セロのせいかもしれませんね。

カーターのセロとデュビビエのベースの掛け合いが、何か室内楽的な雰囲気をより濃厚にしているように感じ取れますか?

この曲は珍しくフェードアウトして終わって行きますが、ドルフィーのフルートの音色が、どこか彼方へと飛び去って行くような、飛翔感を呼び起こしますね。

やはり「OUT THERE」というテーマがこの曲にも流れていると思われますね。




Eric Dolphy - Sketch Of Melba

ランディ・ウェストンの楽曲ですか?

誰??w

ドルフィーはフルートを手にしていて、物悲しさを感じさせるバラードです。

ここでも、鳥のさえずりのようなソロを聞くことができます。

カーターのソロに移りますが、少し元気がないのか?

このスタジオセッションの時カーターは体調不良だったという話もあります。





Eric Dolphy - Feathers


羽毛??ですか??

ヘイル・スミスの楽曲。

ドルフィーはアルトに持ち替えています。

この曲はなにか、切ない「もがき」みたいな感情が感じられますね。

ここでも、「OUT THERE」というメッセージが伝わってきます。

孤独に打ち震える、一人のアーチストの心の様を吐露しているような音調でしょうか?

なにか、旅立ちの決意のようなものが感じ取れました。


さて、二枚目のリードアルバム「OUT THERE」ですが、ファーストアルバム「OUTWARD BOUND」が喜怒哀楽を表現していたのに対して、どこか内向的で陰鬱な空気が漂っているように感じます。

もちろん、メンバー構成が全く異なりますので、ちょっと偏った異質な構成がそういう雰囲気を醸し出しているのは否めません。

もう一つはロン カーターの体調不良で、どこか彼の体調に引きずられてしまっている部分もあるのかもしれません。

しかしながら、それにもかかわらず、このアルバムが録り直しなしに発売されたのは、それらもひっくるめて、様々な面において正常じゃないというか?普通ではないオーラがアルバム全体に漂っていて、それは二度と再現できない、その日その時の彼らの起こし得た一つの奇跡と言えるのかもしれません。

私自身、おそらくエリック ドルフィーのリードアルバムは全て所有しているはずなんですが、この「OUT THERE」だけは、何か異質な雰囲気を感じます。

ドルフィーは、ロン カーターとは後に「WHERE」というカーターのリードアルバムに参加していますが、こういう陰鬱な雰囲気は感じません。

「OUT THERE」はスタジオセッションでありながら、一つのドキュメンタリー的な要素も併せ持つ一枚なんだと、再認識しました。






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Out There (Reis) CD, Original recording remastered, Import